人材紹介会社と人材派遣会社の違いとは?
人手不足を解決するための手立てとして、人材紹介会社と人材派遣会社の提供するサービスを活用する企業も少なくありません。どちらも、企業の人員を補充する際に有用ではあるものの、どのような違いがあるのでしょうか。
そこで本記事では、人材紹介会社と人材派遣会社の相違点をお伝えしたうえで、どちらを利用すべきか解説します。
1.人材紹介会社とは
人材紹介会社とは、人材を探している企業と、仕事を探している求職者のマッチングを行っている会社のことです。厚生労働省の許認可事業であり、正式名称を“有料職業紹介事業者”といいます。
人材紹介会社の担当者が担う業務は、以下の通りです。
▼人材紹介会社の担当者が担う業務
- 求人票の作成支援
- 求人サイトへの掲載
- 採用条件に合った求職者の選出と推薦
- 面接日程の調整
- 応募者への合否連絡
- 給与など、労働条件の交渉
企業は、上記のプロセスを経て人材を採用した際、人材紹介会社に人材コンサルティング料を支払い、直接雇用契約を結びます。
以下の記事では、人材紹介を利用する際のメリットや注意点を解説しているので、あわせてご覧ください。
2.人材派遣会社とは
人材派遣会社では、派遣元と雇用関係にあるスタッフを企業に派遣し、依頼された業務を担ってもらうサービスを提供しています。
▼人材派遣会社の担当者が担う業務
- 企業から依頼された業務を担うスタッフの選定と派遣
- 派遣期間中の派遣スタッフに対するフォロー
- 派遣スタッフへの給与の支払いと福利厚生の提供
人材派遣会社を利用することで、企業は、自社で社員を雇用することなく、必要な期間・人数に応じて、人員補充が叶います。
人材派遣について、詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
3.人材紹介会社と人材派遣会社の違い
人材紹介と人材派遣は、いずれも企業と人材を仲介するサービスを提供している会社です。ただし、サービスの目的や契約の要項には差異があります。
▼人材紹介会社と人材派遣会社の違い
人材紹介会社 |
人材派遣会社 |
|
サービスの目的 |
採用の支援 |
必要な人材の派遣 |
契約形態 |
人材コンサルティング契約 |
労働者派遣契約 |
労働者との契約形態 |
企業との直接契約 |
派遣会社との派遣契約 |
契約期間 |
制限なし |
同一部署において継続して受け入れられる期間は3年 |
選考実施の可否 |
可 |
原則できない |
料金形態 |
紹介手数料 |
派遣料金(実働時間×時間単価)+通勤交通費 |
以下では、それぞれの項目について詳しく解説します。
①サービスの目的
人材紹介会社では、企業の採用要項を満たした求職者を紹介し、採用支援を行うサービスを提供しています。さらに、求人票の作成や面接の日程調整など、採用に関わる業務を企業に代わって行います。
一方、人材派遣会社が提供するのは、企業が依頼した業務を担うに相応しいスタッフを派遣するサービスです。労働力の提供を目的とし、スタッフの選定と派遣にくわえ、業務上のフォローや労務管理も行います。
②契約形態
人材紹介会社と企業の結ぶ契約は、“人材コンサルティング契約”に該当します。サービス利用企業と求職者のマッチングを図り、正式に雇用契約が締結された際に、紹介手数料を支払うものです。
人材派遣会社の場合、企業と人材派遣会社が“労働者派遣契約”を結ぶことになります。“人材派遣会社が雇用する派遣スタッフを、派遣先の企業で従事させる”という契約です。企業は、派遣スタッフに対して指揮命令権を有しており、業務上の指示を出すこともできます。
③契約期間
人材紹介会社を利用する場合、企業と求職者とが直接雇用契約を締結することになります。
一方で、人材派遣会社が提供するサービスでは、同一部署で派遣スタッフを受け入れられる期間に制限が設けられています。その際“派遣先事業所”と“派遣スタッフ個人”、2つの単位が適用されます。
派遣先事業所単位で見た場合、派遣先の同一事業所において、3年を超えて派遣を受け入れることができません。派遣期間を延長するには、抵触日の1ヶ月前までに過半数労働組合から意見の聴取を行い、派遣会社に抵触日の延長通知を行う必要があります。
派遣スタッフ個人単位で見た場合は、派遣先の同一組織単位において3年以上、同一の派遣スタッフを受け入れることができません。ただし、派遣スタッフを異なる組織に配属することで、派遣期間の延長が可能になります。
④選考実施の可否
人材紹介会社を利用した場合、紹介された人材に対し、企業側で書類や面接による選考が可能です。
他方、人材派遣では、原則、派遣スタッフを選考することができません。これは『労働者派遣法第二十六条第六項』で、“派遣スタッフの特定を目的とする行為をしないよう努めなければならない”と、決められているからです。この法令は、派遣スタッフの就労機会を不当に狭めないことを目的に定められています。
参照元:e-Gov法令検索
⑤料金形態
人材紹介では、企業が人材を採用した場合のみ、紹介手数料が発生します。一般的に、紹介手数料は“採用した人材の初年度の想定年収×手数料率”で、算出されます。手数料率の相場は、35%が目安です。ただし、募集する職種や、業務内容によって、相場を超える手数料率を設定されるケースもあり得ます。
人材派遣を利用した場合、派遣料金と派遣スタッフの通勤交通費が発生します。派遣料金は“実働時間×時間単価”で算出され、派遣スタッフの紹介手数料はかかりません。時間単価は、契約期間や業務内容などを加味して決められます。
4.人材紹介会社と人材派遣会社のどちらを利用すべきか
人材紹介会社と人材派遣会社が提供しているサービスには、違いがあることが分かりました。それぞれ特性が異なるので、「どちらを利用すればよい」と正解が決まっているわけではなく、利用すべきタイミングはシチュエーションにより異なります。では、各サービスをどのようなシーンで利用すればよいのでしょうか。
ハイクラス人材やマネジメント層など、即戦力となる人材を採用したい場合は、人材紹介会社の利用が適しています。そのほか、安定した人員の確保や、会社の中核を担う人材の育成を検討している際も有用です。自社内に人事や採用に特化した部門がない場合も、利用したいところです。
繁忙期や年末年始など、人員が大量に必要な場合や、特定の期間のみ人員を補充したい場合には、人材派遣会社の利用が向いています。また、採用コストを抑え、既存社員をコア業務に注力させることも可能です。
5.まとめ
この記事では、人材紹介会社と人材派遣会社の違いを解説しました。
- 人材紹介会社とは
- 人材派遣会社とは
- 人材紹介会社と人材派遣会社の違い
- 人材紹介会社と人材派遣会社のどちらを利用すべきか
人材紹介会社は、企業と求職者のマッチングを図るサービスを提供しています。一方で、企業からの依頼に対して、特定の期間、スタッフを派遣するサービスを提供するのが、人材派遣会社です。
企業に対し人員を補充する点では同じですが、根本的な仕組みが大きく異なるため、それぞれの違いを把握したうえでの使い分けが必要です。
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