派遣社員の有給休暇ルールと注意すべき3つのポイント
人手不足を解決する手立てとして、人材派遣を利用する企業は少なくありません。企業の都合に合わせて即戦力となる人材を確保できる人材派遣ですが、派遣社員に対しても社員同様に有給休暇を取得させる義務が発生します。
そこで本記事では、派遣社員が有給休暇を取得する際に、派遣先が知るべき派遣社員の有給休暇の3つのポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.派遣社員の有給休暇の取得規定とは
- 2.派遣社員に有給休暇を付与する条件
- 3.派遣社員の有給休暇の日数
- 4.派遣社員の有給休暇に対する注意点
- 4.1.①自社社員と同等の休暇待遇を提供する
- 4.2.②申請手続きを円滑に行う
- 4.3.③適切な情報を提供する
- 5.まとめ
派遣社員の有給休暇の取得規定とは
原則として、派遣社員も正社員と同様に、有給休暇を取得する権利があります。
有給休暇とは、一定の要件を満たす労働者の休暇に対して、使用者である企業が賃金を支払う制度のことです。年間で所定の日数を付与しなければならないと、労働基準法で定められています。
派遣社員の有給休暇は、派遣元である派遣会社が付与することになっています。派遣先の企業は、派遣社員から申請を受けたタイミングで休暇を与えられるよう、適宜対応しなければなりません。
派遣社員に有給休暇を付与する条件
派遣会社は、雇い入れた日から起算して6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上従事した派遣社員に対して、週所定の労働日数に応じた所定日数の有給休暇を付与しなければなりません。
また、2019年に労働基準法が改正され、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、年間5日の有給休暇を取得させることが義務付けられました。これらの規定に違反した場合、企業には罰金や懲役などの罰則が科されることもありえます。
なお、有給休暇には有効期限が設けられており、付与した日から2年以内に使用しなければ消滅してしまいますが、有効期限内であれば繰り越すことも可能です。
派遣社員の有給休暇の日数
派遣社員に付与される有給休暇の日数は、派遣元の正社員と同様、労働時間や勤続年数によって異なります。
フルタイムで働く派遣社員の場合、条件を満たしていれば年間で10日の有給休暇が付与されます。これが“週の所定労働日数が4日以下かつ、労働時間が30時間未満”の場合、労働日数に応じて有給休暇が少なくなるわけです。
なお、法律に準拠した範囲であれば、会社の規定ごとに有給休暇の日数が異なる場合もあります。
派遣社員の有給休暇に対する注意点
前述したとおり、派遣社員の有給休暇は、派遣会社が付与することになります。ですが、派遣先の企業も有給休暇に関するトラブルを防ぐために、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。
①自社社員と同等の休暇待遇を提供する
人材派遣を利用するにあたって、派遣社員に対する指揮命令権は、派遣先の企業にあります。そのため、労働基準法に準拠した労働時間が守られているかは当然ながら、休暇がきちんと取得できているかを管理する責任も、派遣先の企業が負わなければなりません。
また、“同一労働同一賃金”の観点から、派遣社員に対して自社の社員と同等の休暇待遇を提供することが求められます。派遣社員が有給休暇を取得する機会や日数について、自社の社員とのあいだで不当な差別が生じないよう、配慮しなければならないわけです。
②申請手続きを円滑に行う
派遣先の企業は、派遣社員から「有給休暇を取得したい」と相談を受けた際には、円滑に休暇を取得させられるよう、業務のスケジュールに配慮しなければなりません。なお、日頃から有給休暇を取得しやすい環境を整えておけば、派遣社員からの満足度の向上が見込めます。
もし、派遣社員の指定した日に有給休暇を取らせることが“事業の正常な運営を妨げる場合”に該当するようなら、派遣先の企業は“時季変更権”を行使できます。時季変更権は、申請された有給休暇に対して、企業側から日の変更を求めることができる権利です。
また、労働基準法の改正以降、年5日の有給休暇の取得義務が課されました。その日数に満たない労働者に対しては、派遣先企業側が有給休暇の取得日を指定することもできます。
③適切な情報を提供する
派遣先の企業は、派遣社員から有給休暇に関する質問を受けることを想定して、適切に情報を提供できるよう、社内の体制を整えておく必要があります。派遣社員に不安を与えないためにも、担当部署内では有給休暇に関する権利や、発生する手続きの流れは把握しておきたいところです。
まとめ
この記事では、派遣社員にも有給休暇が必要なのかを解説しました。
- 派遣社員にも有給休暇は必要なのか
- 派遣社員に有給休暇を付与する条件
- 派遣社員の有給休暇の日数
- 派遣社員の有給休暇に対する注意点
派遣社員の有給休暇は、同一労働同一賃金の観点や労働基準法により、派遣元の正社員と同様に取得させなければならないと定められています。
派遣社員のなかには、有給休暇取得のしやすさを重視している方も多いため、柔軟に対応できるよう体制を整えておくことが、長期就労と人員の入れ替わり防止につながります。有給休暇の取得に際しては、派遣先の企業と派遣社員の双方が歩み寄り、コミュニケーションを取ることが重要です。
なお、アルバイトが有給休暇を取得するケースと比べれば、派遣社員のほうが費用負担を抑えられる可能性があります。というのも、アルバイトの有給取得に際しては、別途有給費用を計上しなければなりませんが、派遣社員であれば、有給休暇分の費用も基本料金に含まれているからです。
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